当院には日本歯周病学会専門医が在籍してます perio
歯周病は高齢者の病気だと思われがちですが、若い方にも蔓延しているお口のトラブルです。初期段階では、ほとんど自覚症状が現れないので、静かに進行してしまうのです。悪化させてしまうと歯を失うことにつながります。また、最近の研究では、糖尿病や肺炎、認知症を引き起こすリスクが取りざたされています。
まずは歯周病の検査をしましょう。そして、お口の状態を知ることから始めてください。口腔ケアのアドバイスを行い、定期検診を通して、お口の健康を長くサポートします。もし、すでに悪化している場合も諦めないでください。当院では、日本歯周病学会が認めた歯周病専門医が在籍していますで、歯周病でお悩みの方はご相談下さい。
perio 軽度の歯周病の場合
-
軽度歯周病の治療
軽度の歯周病治療の基本は、お口の中の汚れを落とし、プラーク(歯垢)や歯石を除去することです。まずは、歯のクリーニングや歯石除去を行います。また、ブラッシング指導を行い、毎日のセルフケアにつなげていただきます。軽度の場合、歯周基本治療という治療方法で治せる事が多いです。逆に進行し過ぎると、外科的な治療が必要な場合や最悪抜歯になるケースもありますので、歯科医院でのケアを定期的に行う事をおすすめします。お口の状態に合わせて3~6カ月に1回の定期検診を積極的にご利用ください。
-
重度歯周病の治療
歯周病は、悪化に伴い、歯を支える歯の周りの組織や顎の骨が溶けてしまい、歯が抜け落ちてしまう怖い病気です。歯が揺れている状態は、重度の歯周病の可能性が高いです。その場合、歯石を除去するだけでは改善しません。歯を失う前に、歯周組織再生療法を行って、溶けた骨を再生する方法がありますのでご相談ください。
perio 重度の歯周病の場合
歯周治療の流れ
- Step1初診・初回診査
- 問診、口腔内写真、歯周ポケット検査、レントゲン検査、咬合検査を行い最適な治療計画を立案し提示します。
- Step2歯周基本治療
- ブラッシング指導、歯肉縁上スケーリング(歯ぐきに隠れていない歯石を取る)、歯肉縁下スケーリング(歯周ポケットの深い所にできた歯ぐきに隠れて見えない歯石を取る)、咬み合わせの治療を行い、歯周病が進行した原因を全て取り除きます。
- Step3歯周組織再評価
- 歯周基本治療が終わり、歯周病が治ったかを再評価をします。軽度の歯周病の場合ここで治療が終了し定期検診へ移行します。
- Step4歯周外科手術
- 歯周基本治療で十分な歯周組織の回復が得られない場合、歯周外科手術を行います。さまざまな術式の手術があるので個々の患者さんに合った手術方法を歯周病専門医が選択します。また歯牙周囲の骨の欠損が認めれる場合、適応であれば再生療法を行うことも可能です。歯周外科処置後は、再度歯周組織再評価を行い、問題がなければメインテナンスへ入ります。
- Step5定期診断・メインテナンス
- 当院では、治療終了後からがスタートであると考えています。歯周病は、一度治癒しても再発しやすい病気ですので、毎日のブラッシングなどのご自身のホームケアと合わせて、定期検診を受けにメインテナンスに来て頂きます。通院の間隔は患者さんによって異なりますが、3~6ヶ月に1回を目安にしています。
歯周組織再生療法とは
歯周組織再生療法は、歯周病などにより破壊された顎の骨に、特殊な薬剤を塗布することで、歯を支えている骨の再生を図り、歯の寿命を延ばす治療方法です。今まで、抜歯の選択肢しかなかった歯も、抜かずに残せる可能性が高くなり、歯周病そのものの進行を食い止める事が期待できます。歯周組織再生療法は、来院していただいて、すぐ行えるものではありません。まずは、歯周病の根本の原因を除去する歯周基本治療を受けていただき、歯ぐきを健康な状態に改善してからでないと、歯周組織再生療法の効果が発揮できないからです。
保健適用で行う「歯周組織再生療法」
歯周組織再生療法には保険適用のものと保険適用外のものがあります。骨移植が不必要な歯周病の場合は健康保険を使って治療することができます。
歯周病の再生療法の種類
リグロス | 商品名「リグロス」は、遺伝子組み換えによってつくられた線維芽細胞増殖因子です。線維芽細胞増殖因子は歯周病で溶かされた顎の骨の再生を促し、歯周組織を再生させます。リグロスの適応症は「垂直性骨欠損」という骨の溶け方をしている歯です。局所麻酔下で歯ぐきを切開、剥離し、プラークや歯石を除去したあと、顎の骨の欠損部に塗布して歯周組織の再生を図ります。「リグロス」は保険適用です。適応症が限られているため再生療法をご希望の方はご相談ください。 |
---|---|
エムドゲイン法 ※保険適用外 |
世界44カ国以上で使用されている「エムドゲイン」は数多くの実績があり、再生療法ではもっとも有名な方法です。「エムドゲイン」はエナメルマトリックスという豚の歯胚組織から抽出したタンパク質であり、これを骨欠損に応用することで、歯が発生する時と同じ環境を作り出し、歯周組織を再生できる薬剤です。「エムドゲイン」は安全であり、アレルギー、副作用の報告はありません。リグロスよりも適用範囲が広く骨欠損が大きな場合は骨の移植(人工骨)を併用して行う事ができます。 |
歯周組織再生療法の流れ
-
治療前
根本的な原因を除去し、歯周病の基本的な治療が終わった段階で、初めて再生療法ができます。
-
薬剤投与
局所麻酔後、歯ぐきを切開、剥離し汚染された歯根面をきれいにお掃除します。その後、「リグロス」または「エムドゲイン」を塗布し緊密に縫合します。
-
血管の再生
1~2週間で糸を取ります。治癒の過程ではじめに血管の増殖、再生が起き、実際に骨ができるのは半年以上経過してからです。
-
歯周組織の再生
1度再生した骨は歯周病に感染するとまた溶けてしまいます。定期的なメインテナンスをおススメします。
症例紹介
重度歯周炎患者に再生療法及び全顎的治療を行った症例
-
治療前
全顎的に歯列不正が著明で、かみ合わせの悪さが原因で歯周病の進行が止められない状態でした。
レントゲン写真では根尖まで骨が溶かされてしまい揺れている歯も数歯認められ、重度歯周病と診断しました。 -
治療後
正常なかみ合わせを得ることができ歯にかかるストレスも分散できるようになりました。歯周組織再生療法により骨が再生し安定した予後が得られました。
詳細はこちら
患者さまの主訴 | 歯が揺れてきて歯並びが悪くなった |
---|---|
治療内容 | 歯周基本治療(ブラッシング指導、スケーリング、抜歯、う蝕治療、根管治療、不良補綴物の交換)矯正治療(前歯)歯周外科治療(再生療法、遊離歯肉移植術) |
患者様の年齢 | 43歳 |
患者様の性別 | 男性 |
治療期間 | 3年 |
治療にかかった総額 | 800,000円(再生療法6回、部分矯正) 他保険治療 |
治療する際に起こる メリット |
かなり進行した歯周病だった為、通常のプランであれば数歯抜歯して入れ歯かインプラントを選択します。しかし今回矯正治療と再生療法を行った事により最小限の抜歯で済みまた、歯周病によって失われた骨を再生療法により回復でき自分の歯のみで咬める口腔内環境になりました。 |
治療する際に起こる リスク・副作用 |
歯周治療を行う事により歯肉が退縮し歯が長くなった感じがします。それに伴い知覚過敏やもの詰まりが起きやすくなります。歯肉が退縮する事により根面う蝕のリスクが高まるため定期検診は必須となります。 |
歯周基本治療だけで改善した症例
-
治療前
ブリッジの支えの歯である左下5番は根尖まで骨が溶けていて通常は抜歯と判断します。
-
治療後
左下5番以外に重度に骨が溶けている歯が無かった為この歯だけに過剰な力が加わっていると判断しました。そこで1~2カ月、上の歯と咬まないように残根上にし、歯周基本治療を行った結果骨が復活してきました。ブリッジによる負担過多が原因であった為欠損部はインプラントにて補綴を行いました。
詳細はこちら
患者さまの主訴 | 他院で歯周病があると言われた |
---|---|
治療内容 | 歯周基本治療のみ(根管治療、咬合調整、スケーリング)左下6番欠損部インプラント治療 |
患者様の年齢 | 52歳 |
患者様の性別 | 女性 |
治療期間 | 1年 |
治療にかかった総額 | 650,000円(インプラント治療1本、ジルコニアクラウン2本) |
治療する際に起こる メリット |
抜歯と判断された左下5番を抜歯せず保存することができました。 |
治療する際に起こる リスク・副作用 |
基本治療のみでここまで骨が戻ってくる事は珍しくこのようにいかないケースもあります。 |
重度歯周炎患者に遊離歯肉移植術を行って丈夫な歯肉を獲得した症例
-
治療前
歯茎に炎症があり歯ブラシを当てるのも痛い状態でした。
特に右下3,4番は歯周病により硬い歯肉も失われていてこのままだと歯肉退縮が進行してしまう状態でした。 -
治療後
歯茎の炎症はなくなり痛みなく歯ブラシを当てられるようになりました。
右下3,4番は移植手術後分厚くて丈夫な歯肉を獲得し歯肉退縮が起きにくい歯茎に変わりました。
詳細はこちら
患者さまの主訴 | 歯ぐきから血が出る |
---|---|
治療内容 | 歯周基本治療(ブラッシング指導、不良補綴物の交換、スケーリング,抜歯、治療用義歯、)遊離歯肉移植術、最終補綴物 |
患者様の年齢 | 67歳 |
患者様の性別 | 男性 |
治療期間 | 2年 |
治療にかかった総額 | 590,000円(メタルボンド1本¥100,000×2本、金属床義歯¥300,000、遊離歯肉移植術¥30,000×3) |
治療する際に起こる メリット |
遊離歯肉移植術を行う事によって歯肉退縮を長期的に予防する事ができました。 |
治療する際に起こる リスク・副作用 |
遊離歯肉移植術は上顎の内側の硬い歯肉を採取する為1週間ぐらい歯肉を保護するマウスピースを使用します。 ダウンタイムは約1週間でその間食事がしにくくなります。 |
perio 歯周病が身体に与える影響
-
心疾患
歯周病菌などの細菌が血管に入り込むと血栓を起こしやすいので、血管が詰まりやすくなります。全身に運ばれるとさまざまな部位で血管に梗塞を引き起こすリスクがあるのです。心疾患は発症のリスクが高まる病気のひとつです。
-
肺炎
食べ物や唾液を飲み込む際に、気管に入れてしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。歯周病が悪化していて、さらに免疫力が低下していると、誤嚥によって気管や肺に炎症を起こしやすくなります。ご高齢の方や寝たきりの方はとくに誤嚥性肺炎に注意が必要です。
-
糖尿病
糖尿病にかかっている人は、歯周病も発症している確率が高く、歯周病の症状が改善すると糖尿病を示す数値が減少するともいわれるほど、関連性が高いといわれています。
-
早産・低体重児出産
妊婦さんはさまざまな理由によりお口のトラブルを起こしやすいといわれています。歯周病を悪化させてしまい、歯周病菌が血管に入り込むと子宮の筋肉に影響し、その結果、早産や低体重児出産のリスクが高まってしまいます。
その他の外科治療
結合組織移植術
結合組織移植術の主な適応症は歯肉退縮です。
矯正治療等により、一部限局して歯肉が退縮した歯根面に対して、口蓋(上顎の内側の固い歯肉)から結合組織を採取し移植する手術です。
遊離歯肉移植術
付着歯肉が不足している部位に対して、口蓋(上顎の内側の固い歯肉)から遊離歯肉を切除して移植する手術です。これにより、付着歯肉の幅が増加しメインテナンスがしやすくなり、歯周病菌にも抵抗の強い歯肉ができあがります。
天然歯、インプラントにも適応されます。